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学校が変わる時  −第1部 再編−

女子大危機 加速する「共学志向」

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同志社女子大は短大部をいち早く廃止し、私学関係者を驚かせた(京田辺市)
 一九九八年秋、京都の女子大関係者に衝撃が走った。同志社女子大(京田辺市)が、短期大学部の募集を二〇〇〇年度から停止する、と発表したからだ。短大では全国で一、二を争う人気だった。「なぜ、そこまでやる必要があるのか、分からなかった」。ある女子大の理事は率直に振り返る。

 当事者の見方は違っている。担当だった高本進企画室長は、市内が一望できる大学のレストランで募集停止の理由を初めて明らかにした。

 倍率10倍なら安定

 「女子大は併願する受験生が多いため、目減りを予想して定員より多い合格者を出す。だから、経営の目安としては受験倍率十倍が安定ライン、三倍を切ったら危険ラインとしてきた。短大部は危険ラインに近づいた」

 決断の裏にあるのは、女子大の危機感だった。女子学生の共学、四年制志向は、大学が予想した以上に早く進んでいる。特に女子短大は受験生が減り続けた。高本室長は「短大部が傾けば、女子大全体に影響する。その結果、共学の同志社大に統合されるのでは、という危機感が募った」と決断の理由を話す。短大部の代わりに四年制の現代社会学部を新設、安定ラインの受験生を確保できたという。

 同じ関西学研都市にある大阪国際大(枚方市)は、大阪国際女子大・大阪国際女子短大(守口市)を来年四月から統合する。女子大は帝国女子大以来七十年の歴史があるのに対して、共学の大阪国際大は八八年に開設した新設大だ。金子敦郎・大阪国際大学長は「教育の質がいくら高くても、女子大というだけで最近の女子高生は敬遠しがち。経営上の努力だけでは、受験生の確保にも限界がある」と系列三大学が共学で一体化する理由を説明する。

 資格コース充実

 女子大としての生き残りを目指し、アイデアをしぼる大学もある。京都光華女子大(京都市右京区)は今夏、受験生へのオープンキャンパスでケーキをふるまう「ケーキバイキング」を催し話題を集めた。女性に人気の旅行業務取扱主任者や管理栄養士など、資格の取れるコースを充実させ、活路を見いだそうとしている。

 阿部敏行理事長は「本来の教育理念を守りながらも、変えるべきところは変えないと学生が集まらない。理念と経営のバランスをいかに保つかが課題。いずれにしろ、生き残りの手を打つには今が最後の機会」と話す。

 日本私立学校振興・共済事業団の本年度調査では、定員割れした私大は全体の30・2%、短大は54・8%に達する。女子大・短大の受験生離れは特に厳しい。

 京都も例外ではない。定員割れさせないため、受験生ほぼ全員を合格させる大学も増えている。河合塾京都校の上神峰生校舎長は「全国的にみても、不況で受験生の地元志向が強まっている。大学が多い京都だからこそ逆に、学生確保は難しくなる」と予測する。(平成13年11月)

メ モ
 <大学・短大進学率> 1980年代半ばから大学・短大の進学率は順調に伸びた。女子学生の進学熱の高まりが大きな要因で、89年から99年まで女子の進学率が男子を上回った。しかし、最近は50%目前で進学率が伸び悩み、今春は前年より0.5ポイント低い48.6%と12年ぶりにダウンした。短大だけにしぼると進学率は低迷が続き、今春は0.8ポイント下がって8.6%だった。


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